8月10日〜17日にかけて、フランスに行ってきました。 フリーフライトとPWCの熱気、そして平田夫妻のハネムーンのアツアツぶりをレポートします。
平田夫妻、関空にて「行ってきま〜す!」 |
ようやくガラスの向こうで待っていてくれた半谷さん&正ちゃんと再会。半谷さん曰く「荷物出てこない予感がしてたんだよ。いやぁ、よくあることです」
何でも以前のツアーでは6人中6人とも荷物が出て来なかったそうだ。 いったいどういうシステムになっとんねん。たのむでしかし。
夜道を疾走してモルジーンの宿まで到着。宿は3ベッドルームにキッチンと ダイニングがついたアパート形式である。 先週から来ているという獅子吼のヤマさんと同室。 平田夫妻は当然別室。ハネムーンですからね。 正ちゃんは少し離れた別の選手用アパートに帰っていきました。 長い一日が終わり、就寝。機体は無事だろうか。 一緒に詰めている TAK Tシャツは無事届くのでしょうか。
雨のシャモニー |
シャモニーはご存知モンブランのふもとの町。車でちょっと走るともうシャモニーである。 あいにくの雨なので視界は非常に悪い。地図や着替えを買ってお茶して帰りました。 飛べなかったけど観光や買い物ができてちょうどよかった。
僕の荷物は無事アランさん宅に届いたようだ。ほっと一安心。 明日アヌシーで受け取って飛べるとのこと。 オギー、辻さん、正ちゃんの3人が作戦会議。 ジョエルは今回の大会のエリアについては完璧に熟知していて、 でっかい立体地図を見ながら、熱心に説明している。
半谷さんは途中参加の長野の井沢さんをピックアップにジュネーブへ。 荷物は出てきたけど本人がなかなか出てこなくて焦ったそうです。
アヌシーの湖は本当にきれいで、サイクリングする人、ジョギングする人、ヨットを楽しむ人など みんなゆったり人生を楽しんでいるって感じで、こんなところに住めたらいいな、と思う。 街並みもおしゃれである。
2万ボルトの電線 |
ここにはリップエアー社というパラの修理屋さんがあり、 あらゆるメーカーの機体を修理できるとのライセンスが壁一面に張ってある。 ツアー中にお世話にならないようにしよう。
またここのランディングは細長く、平行して2万ボルトの電線が普通の電線の高さに張ってあるので要注意である。 ひっかかったら危ない。
1本目はここより南のラ・フォルクラのテイクオフから飛ぶ。まずはランディングの確認である。
湖の南端を過ぎたあたりの草原がランディングである。とにかく広い! 牛もいる。
地形と建物をよく覚えて、いざテイクオフへ。
平田さんとフォルクラのT.O. |
アヌシーといえばこのアングル!? |
湖の上を飛ぶ |
もう感激! 写真では伝えきれません。小一時間ほどソアリングして、湖の上をパスしてランディングへ向かいました。
吊ってしまった |
結局この日も大会はキャンセルでした。
夕食は皆でモルジーン町内のレストラン。美味しいステーキとワインを頂きました。
アエロタクトで頑張っている良太の話題も飛び出したりして、和気あいあいと夜は更けていくのでした。
サモアンのT.O.。牛がいる |
サモアンはモルジーンから南へ10kmほどにあるエリア。雄大な谷を挟んだ向こうに岩壁がある。 テイクオフはのどかな牧草地で、あたりまえのように牛がいて広げているグライダーの間を悠々と歩いていく。
1本目は今ひとつ上げきれずランディング。軽く腹ごしらえをして再度テイクオフに上がる。
2本目は流されてテイクオフすぐ後ろの斜面に降りてしまった(これってトップラン!?)。 気を取り直してリトライ。高度を稼いで対岸へと渡り、皆で迫力の絶壁ソアリングを楽しんだ。
絶壁の近くは荒れていて写真どころではなかったので、迫力ある写真が撮れませんでした。残念。
絶壁へと谷渡り |
ランディングでまったりとくつろいでいると、PWCのゴールがここサモアンのLDになったとの連絡。 38.9km(ミニマム有効距離36km)のスピードランである。 われらがアエロタクトチームが現れるかと待ち望んだ。 ランディングの真中に、ゴールラインが引かれた。
17:30頃、山の端から、谷間の奥から、1機、また1機とレーサー達が現れた。
初めて目にするワールドカップのデッドヒートである。興奮に胸が震えた…
なんて遠くから、なんて低く飛んでくるのだろう。これがワールドカップなのか…
パトリック・ベローが、さっき僕らが飛んでいた岩壁で確実に上げていく。
オギーの機体が見えたが、なかなか高度が稼げず苦労しているようだ。
正ちゃん、辻さんほか30機ほどは1つ手前の谷に降りたと携帯で連絡。残念。
結局、誰もミニマムに届かず不成立。
オギー、ランディング | パトリック・ベローと記念撮影 |
夕食はカレーとうどん。We are ジャパニーズって感じである。 ちなみに食事はほとんど半谷シェフの手料理です。これがまたうまいんだ。
晴れているが逆転層ができている。モンシェリーに登ってテイクオフからスタートを見守ることにした。 ランディングはモルジーン。逆転層が晴れるのを待ってスタートである。
正ちゃん準備中 逆転層の向こうにモンブランが見える |
一斉にサーマルポイントへ向かう |
オギーのテイクオフ |
PWCのテイクオフは「壮観」のひとことに尽きる。 100機のグライダーがあっという間に飛び立ってあっという間に上昇し、あっという間にスタート地点へと飛び去る。
モンシェリー上空からモルジーン方面を望む |
雲低までしっかり上げて選手が向かった裏の尾根を目指す。 ぎりぎり届いたがすぐ足元に地面が近づいたので、あせった。尾根際まで寄せれば上がるかも 知れないが、そのまま降りちゃったらどうしよう。 何を血迷ったか、そのまま尾根を伝って低くなったところで向こう側へ回り込んでしまった。 上がるわけもなく、そのまま高度をロス。とりあえずモルジーン方面へ機首を向けて ふらふらと飛び、尾根を1つ越えた谷に降りてしまった。
「ここはどこだろう?」とりあえず無線を入れると 「適当にヒッチハイクをしてテイクオフに上がって来てください」と半谷さん。 ちょうどすぐ後に同じ場所に下りた若い兄ちゃんが居たので、一緒に親指を上げる。
しばらく待ったがなかなか止まってくれそうにない。業を煮やした兄ちゃん、 どこかへ携帯で連絡。ほどなくして、1台の車が現れた。どうやらカノジョらしい。 めっちゃ美人である。乗せてくれるというので、お邪魔した。 「コンペティターか?」「いや、ちがう」「どっからきた」「日本だ」「バケィションか」「そうだ」 などと話しながらレジェのテレキャビン(ゴンドラ)乗り場まで乗せてくれた。 「フランスでよい休暇を!」とカノジョさん。どうもありがとう。 フランスが好きになったよ。
さて切符を買ってテイクオフに上がろうとしたら、さきにランディングしたはずの 平田さんと連絡が取れない、と半谷さんから無線。「とりあえず探してみますわ」 と無線で呼んだりレジェのランディングを探すが、居ない。時間切れとなり、降りてきた 半谷さんとモルジーンの大会本部へと向かう。平田さんは結局テレキャビンでテイクオフに 上がり、モルジーンまで飛んできた。テレキャビンの中は無線の不感地帯だったのかな?
先にモルジーンにランディングしていた絵美ちゃんと井沢さんと合流し、喉をうるおす。 この日のタスクは 78.1km。バリデーションタスクは36km で ゴールした選手はいなかったものの、15名がバリデーションタスクをクリアした。 トーステン選手が56.6kmを飛んでトップ。 オギー 31.6km で 19位、正ちゃん 30.8km で 24位、辻さん 29.7km で30位。
今回アエロタクトは「アエロタクト」と「アエロタクトレーシング」という2つの チームで参戦している。ちなみにチームアエロタクトはオギー、正ちゃん、スイスのレネ。 ブラジルのフランク、アメリカのスコッティ、そして辻強選手は「〜レーシング」に属している。
この日はアランさん一家もやってきて、夕食はアエロタクト両チームとハンス・ボーリンガーが 集まってスシ&ソーメンパーティー。とてもにぎやかでした。
アラビスの絶壁。向こうにモンブランが見える |
のろのろ運転の横を、自転車がすいすいと横を追い抜いていく。さすが、ツール・ド・フランスの国。 そういえば今回のPWCのテイクオフがあるレジェの町でも、9月にマウンテンバイクのワールドカップが開かれるのだ。 パラより自転車を持ってリフトに乗る人のほうが多いのもうなずける。
やっとアラビスのお膝元、ラクルーズの町に着き、ランディングを確認。なにやらにぎやかだ。 お祭りの準備をしているようで、町なかもずっと渋滞で坂道発進の連続。 このころからなにかいやな予感、いや、いやなにおいがしていたのだが、 車中の5人はこのあとに待ち構える不幸を知る由もなかった。
ラクルーズの1つ隣の谷がグランボルナの町である。町からはアラビスの断崖が一望できる。 その向こうには白く輝くモンブランがあるのだが、テイクオフに上がらないと見えない。 今日の我々のタスクは、テイクオフして雲低まで上げた後、アラビスの断崖絶壁にとりついて堪能し、 グランボルナ or ラクルーズにランディングすることである。
「よーし、翼端こするまで崖に寄ったる!」と、ごっついことをいいながらテイクオフに登る途中で車から異臭。 なんだなんだ!?と思ううちに、エンジンは回るけど前へ進まなくなってしまった。 どうやらクラッチが滑っているらしい。ウララ〜、こんなところで!!
車が止まったらどうするか? 降りて、押すのである。
ファイトー! とりあえずあのわき道まで! | さて、どうしましょ |
見上げれば絶好のソアリングタイム。たくさんの機体が乱舞している。うらめしや〜
でも一番つらかったのはジョエルにSOS電話している半谷さんだと思いました。
結局半谷さんと車を残してふもとまで歩き、テレキャビン(ゴンドラ)に乗って山頂を目指すことになった。 大した距離ではないのだが、ザックをかついて歩くエリアに慣れていない3人は疲れ気味。長野の井沢さんはすずしい顔。
ふもとはまだか〜 |
夫:「歩けない〜」 妻:「起きれない〜」 |
町の中心に出ました |
休憩しながら降りたところは教会のある町の中心。とりあえず何か飲もう。
半谷さんに連絡を入れると「昼休みに入ったからテレキャビン止まったよ」との返事。 確かに乗り場をチェックすると誰もいない。11時半から2時まで昼休みである。 あ〜絶好のサーマルタイムが…
気をとりなおして近くのオープンカフェ(という呼び方でいいのかな?)で腹ごしらえをして時間をつぶす。 フランス版サンドイッチ(フランスパンに切れ目を入れてチーズとハム程度を挟んだもの)にも慣れてきたぞ。
テイクオフ |
食べ終わって一息つくと、ようやくテレキャビンが動き出し、山頂へ。やっと飛べた〜! ノマドに乗っている井沢さんはさっさと上げてアラビスへ走ってしまった。うまいなあ。 テイクオフ前は数10機が乱舞する大混雑状態で、タンデムもいれば初級機もいる。 トップアウトして山頂後方の雲につければよいのだが、3人とも上がったり下がったりで なかなかタイミングが来ない。
どのくらい長い間粘っていたのだろう、その時、半谷さんから「正ちゃんトップゴール」の無線。
思わず空でガッツポーズ!
ついにやったな、正ちゃん! 応援に来た甲斐があったよ。
途端に強いリフトに乗せられ一気にトップアウト。しかしめでたい日にアウトランディングは
まずいかも、と思い、岩壁へ向かう勇気は出ず。
テイクオフ上空よりアラビス山脈を望む 中央グリーンのあたりに平田さんは消えた |
そのうち平田さんがたまりかねたのか「行ってみまーす」とアラビスへ。 「あらら、行っちゃった」高度が無かったようなのでどうなることかと見守っていたら、 あと一歩、谷の一番奥で「降りてしまいました〜」あわれ平田さん。 「歩くなりヒッチハイクするなりしてラクルーズのランディングまでたどりつくべし」と半谷さん。 このツアーは人間強くなれそうだ。
しかし残された我々もあきらめきれず、アラビストップアウトのチャンスをうかがう。 高く上がったタイミングで絵美ちゃんが機首をアラビスへ向けた!「おお、うるわしき夫婦愛!」 と思ったらくるりと回り、やめた。 夫婦の性格と関係が飛びに象徴されているのかも!?
井沢さんは無事リターンしてきた。 僕と絵美ちゃんは結局3時間、同じところで浮いたり沈んだりを繰り返し、グランボルナのランディングに降りた。 疲れました。
半谷さんはというと、なんとかだましだまし車をおろし、ランディングで待っていてくれました。 ご苦労さまでした。とりあえず喉が渇いたので乾杯! 山の向こう、ラクルーズで待っているだろう平田さんごめんなさい。 ジョエルの代車が来ないとどうしようもないんです。
町ではお祭りのような催し物をやっていて、でっかい鍋の料理がふるまわれていました。 舞台では芸人がジャグリングをやってて、おもしろいので見とれてしまった。 言葉はわからくてもお笑いは万国共通だね。
平田さんは居ないけど…まあいいや |
お祭り広場のでっかい…なんだろう、ご飯と 何かを炒めたもの。行列が出来てました |
待ちくたびれてそろそろ暗くなろうかというころ、やっと救世主ジョエルがベンツのトランスポーターに乗って登場。 平田さんも無事ピックアップできて、やっと帰宅の途につけました。 ちなみにラクルーズはチーズ祭りだったそうです。転んでもタダでは起きませんね、平田さん。 ああ、チーズ祭り…時間があればなあ。
夕食は“本日のチャンピオン”正ちゃんが直々に火を通したでっかいステーキ! ベストな焼き具合で最高でした。
「これで終わりじゃないんだ、これが始まりなんだよ」と、勝って兜の緒を締めよとの半谷監督の厳しいお言葉。 この日は正ちゃん1位(PWC総合ランキング4位!)に続いて2位はアエロタクトレーシングのフランク、3位はオギーとアエロタクトチームがトップ3に立つという快挙。 記念すべき日となった。