「ビバ・アミーゴ! −チーム・タスマニアのメキシコ紀行-」 (04/02/05-15)


1.期  日  延9日間/5(土)〜15(日)Feb.2004
2.行き先  メキシコ・エンセナダ+サンアントニオ+アメリカ・オーエンズ
3.隊  長  西山まさのり(チャイニーズ・マフィア)
4.隊  員  村田東雄(タスマニア・タイガー)
        中村忠義(アナグマ)
        高橋洋介(怪鳥)
        足立博文(マストン・ザ・ミロシェビッチ)

 今回のメキシコ・ツアーにメンバー全員が参加することはできず、大変残念な形でスタートすることとなり、今回のツアーは「メキシコ見聞先遣隊」と呼ぶことにしました。

 旅の始まりはトラブルから、2月7日(土)、神戸三宮で関空行きバスチケットをゲットしていると、怪鳥が前方をウロウロ、ワテはバスの係員にパラザックを預け、後から来たタイガーと話をしていると、ワテのパラザックはバスと一緒に出て行ってしまいました。

 "おいコラ係員!何すんねん、主人がここにおるのに、荷物だけ行ってしも〜たやないの"と涙目で訴えると、"ゲぇ〜お客さん、なんで乗らなかったんですか?"と言われてしまいました・・・"冷たいやっちゃの〜""ぐすん!"
 しかし、ここらへんが凡人とちゃうところ、関空にワテのバスが到着すると、前方のバスからミ〜のパラザックが下ろされているところでした。

 その他は特に何のタラブルもなく、機嫌よく韓国インチョン国際空港に到着、待ち時間を経て、一路目指すはロサンゼルスぅ〜!
 先日海上に不時着した気球の上も軽く飛び越えて、時速1,200キロで・・・
ブ〜ン、ハエ〜・・でもLAまで12時間、ビール、ワインと水割りを飲んで、ひたすら我慢のスリーピングタイム、"辛いの〜・・・"

 LAには同日12日(土)の午前8時30分に予定通り到着・・・ここまではよかったんやけど、北朝鮮の高官に瓜二つのタイガーが入国審査で引っかかる予定が、"な、な、なんで〜オイラが捕まるんやねん!!!""がぁぉぉぉ〜"
 めぇりか〜の入国カードは「I−94」と呼ばれちょるケド、滞在先記入欄には必ずホテル名を書くことになっちょりま〜す。

 過去何回か外国に行ったことがあるワテは、今までホテルなんて書いたことはありません。因みに、事前に宿を決めてから行ったことがないもんで〜・・・
 But これまでは、な〜んも問題は起きませんでした。

 他のメンバーが"どこに泊まるん?"って聞くんで、事前に西山さんからおせ〜てもらっとったホテル名はパラザックの中、"え〜ヒルトンホテルゆ〜たらエエで〜、てきと〜に!"とか〜るく考えちょりました。

 いざ入国審査、他のメンバーは素直に通り抜け、Me、tooと行く予定が・・・審査官"どこのホテル?"ミ〜"まだ決めてないも〜ん"これが間違いの元凶、ヒルトンホテルと単純に言えばエかったのに・・・その審査官は、"宿が決まっていない者は米国には入国できない"と高飛車!ワテもきゅ〜に態度を変えて、"まぁ〜まぁ〜そぉ〜怒らんと"

 "いや〜実は、友達がLAで15年暮らしていて、全てまかせっきりなんですぅわ〜""その人の名前は?""えぇ〜とぉ・・・"焦ったオイラは直ぐに名前が出てきません。明らかに彼は不信そうな目でオイラを見てる。"その人の住所は?""ああ〜それは分かります。メモもっちょるけんのぉ〜"

 パラザックに入れておいたメモを見ようとすると、アナグマがオイラの荷物まで親切にカートに積んで、ゲートの外へ〜あぁ〜消えて行く〜・・・"オ〜〜ノ〜ヨ〜コ" 彼を追いかけようとして、ゲートガードマンに止められてゲートは出られず、「住所」分からず・・・再度審査官"電話番号は?""いや〜あの〜荷物と一緒に入れてるんで〜"

 結局、分からずままメモを持たされて、「Aカウンター」で待機させられて・・・LAの空港から出られへんカモ?と心配になりましたが、日頃の精進の良いオイラは大韓航空のスタッフに助けられて、やっとアメリカで自由人になりました。

 午前10時前に西山さん(一見中国人マフィアに似ているので、以下チャイニーズマフィアと呼ぶ)と出会い、これから一路南下して、今日中にメキシコに入ります。このため、食料品をゲットする目的で、「コスコ」と云うLAのスーパーマーケットに到着しました。

 あれやこれやの食料品と、大事な酒も十分調達したあと、スーパーの外で、腹ごしらえにホットドックを食べることになりました。そのホット・ドックは大きさも十分、味もま〜ま〜、ソフトドリンクは飲み放題で〜料金はな、なんと1.5ドル・・・エ〜安すぎる〜

 小腹も満たしたんで、C・マフィア号(フォードのミニバン)に乗って、一路南へどんどん走る走る。約2時間で、最初の目的地「トーリーパイン」のフライトエリアに到着。海岸べりのリッジエリアで、テイクオフも整備されていて飛ぶにはよさそ〜

 因みに、トーリーパインはカルフォルニア州サンディエゴにあり、我々が訪れていた時、アメリカのPGA(ゴルフトーナメント)が「ビュイック・インビテーショナル」を開催中で、アル中で問題児のジョン・デイリーが9年ぶりに優勝しました。日本人の丸ちゃんこと、丸山茂樹選手も4位に食い込みましたが、日本に帰ってTV中継を見ていると、画面の後ろにハングとパラが飛んでいるのが見えました。

 しかし、トーリーパインは、同一空域には一機しか入ったらアカンとか、ど〜しても入る時は笛を吹けとか・・・制限が多い。あかん、アメリカまで来て、あ〜でもない、こ〜でもないは"ノ〜サンキュ〜"と、一挙にメキシコに向かうこととしました。

 フリーウエーを順調に走っていると、5〜6時間でメキシコ国境に到着。まじめなオイラは陸上で初めて遭遇する「国境」の検問に緊張気味!こわそ〜なに〜ちゃんが手合図で行け!"えぇ〜・え〜の、な〜んも調べんかったやないの〜""車の中に北朝鮮の高官が乗ってるのに〜後で、テポドン打ち込まれても知らんからな〜"とブツブツ・・・

 そうこうしている内にやっと、次の目的地「ラサニラ」に到着!すげぇ〜、なげ〜ダイナミックなリッジが、海岸から1〜2キロ離れ、平行して、延々と南北に続いている。車で裏から上がれるよ〜やけど、時間の関係で登山と相成りました・・・重いパラザックを持って、難行苦行の始まり、はじまり・・パチパチパチ!

 登山の途中、サボテンや竜舌蘭や見たこともない珍しい植物に出会う。怪鳥はデジカメを取り出してパチパチ・・・下から、頂上を見たときは、そ〜と〜の時間がかかると思ったけど、約30分で頂上に到着、と〜ちゃくぅ〜!頂上から見る景色は、ちょっとニッポンじゃ〜見られません。ダイナミック、アメリカ大陸西海岸のブルースカイと相まって、きれ〜!すっげぇ〜!

"What a marvelous world !"さすが、メキシコ!

 登山の疲れが取れた頃、いよいよ初フライト。風は強め、右クロス、機体上げるのにクロ〜スる感じ!うひゃうひゃうひゃ、センスええの〜
じもっぴ〜C・マフィアは眼下のホテル「バハシーズンズ」でチェックインするため、テイクオフにはいない。しゃ〜ないワテがダミ〜します。強風に煽られながらテイクオフ、断崖を右に走るが、期待に反してリッジソアリングができない、浮かへ〜ん。たぶん風がクロスしてるんで、上昇風がないんや〜

 つぎはアナグマ、今度は左に走る。お〜ステイしかけた。がんばれよ〜!TO前に移動している。"あかんのんちゃう?""そんなとこへ来たら!"あえなく沈!

 3番手はタイガー・・・やっぱステイできない。ランディングがショート、"そんなとこ降りたら、ケツにサボテン刺さるで〜"いやホント!
しんがりは怪鳥、風が強くてうまくTOができない。しかし頂上には誰もいない。何回も苦労する姿が下から見えるが、ど〜しょ〜もない!"あ〜あ、かばいそ〜!"も〜ちょっと近ければTOのサポートに行けるんやけど〜。

 段々と時間が過ぎる。水平線に太陽が近づいている。・・・それを見かねたC・マフィアが応援に上がることとなった。

 その間、水平線では大スペクタクルショウ!真っ赤な太陽がひとつの雲もない青空から、真っ青な海に落ちて行く・・・"ジュ〜"と言いそ〜なほど、赤く美しい!

 結局風には逆らえません。怪鳥のフライトは明日にお預けとなり、日がどっぷり暮れた頃、二人はやっとLDにたどり着きました。
直ぐに車で5分のホテルに滑り込み、シャワーを浴びて、C・マフィアが調理するステーキに食らいつく!"うめ〜、アメリカのステーキもいけるで〜"

 ビールはメキシコでは「コロナ」と並んでポピュラーな「テカテ」、少なくともアメリカのビールよりうまい!腹がチャプチャプしたころ、白ワインを開ける。ついでに、赤ワインも楽しむ!最高〜はぴぃ〜生きててエガッた〜!

 気が付いたら、ベッドのうえで朝を迎えていました。外を見ると強い山風(オフショア)、2日目のスタートとしてはまずいカモ!

 風向が一向に変わらないので、ラサニラでのフライトを諦めて、南へ移動、観光地「エンセナダ」に到着。スーパーで今日から始まるキャンプの食材と酒を調達する。メキシコに入るとティアナとエンセナダの町中で、高さ数十メートルのポールに、馬鹿でかい国旗が掲揚してあったが、兎に角、はじめて見た、とてつもない大きな旗だった。

 その国旗の近くで町のメインストリートに露店があり、C・マフィアの案内で生まれてはじめての食べ物を体験することができました。手のひらサイズのコーン生地(煎餅みたいなもの)の上に、魚介類のミンチが敷き詰めてあり、またその上に、イカ、タコ、何種類かの貝が細切れにされて載っている。更に、玉ねぎ、トマト、スライスされたキュウリがまぶせられ、ライムを絞ってかけ、コーン製のポテトチップを一緒にパリパリ食べながら楽しむ。以外にも生臭さもなくうまい!C・マフィアに名前を聞くが、何回聞いても分からないようで、写真を撮っておいたので、参考にしてくらハイ!

 ところで、メキシコ人は一部の観光関係者を除いて、スペイン語以外は理解しないのでびぃ〜ケアフル!聞く所によると、メキシコは義務教育がないそ〜です。アメリカから高速道路の料金所程度の国境を越えると、歩いている人々、家並、植物、言葉、ライフスタイル等の環境が急変するのでびっくラです。

 エンセナダで用を済ませ、更に南下する。途中右手には太平洋、左手には丘陵地が延々と続き、時々見られる家並は日本人風に言うと貧しく、質素で可愛そうな気さえする。更に南下すると、日本でも有名な「コロナビール」の製造工場に到着し、工場の前には直営店があって、コロナエクストラとコロナファミリア(どちらもビール)を入手する。コロナビール工場を後にして1時間、街道上の小さな田舎町で車を止め、タコを食べることにする。メキシコに行くと決めてから、あるアメリカ人から教えてもらったうまいメキシカン料理5種類を全部喰う目的もあり、タコはそのうちの一つ!

 初めて知ったが、一般に知られている「タコス」は複数形で、料理名としては「タコ」と呼ばれている。タコには何種類課のタコがあって、フイッシュタコと牛肉などを詰めたミートタコに大別されるようである。その田舎町の露店には、おばちゃんがフイッシュタコを売っていたので、ライムをかけて食べてみたが、結構いける。メキシカンフードを食べるとき、何種類かのスパイス(タバスコなど)とライムは必需品でセットされている。

 小さな町にさよならして、今日のフライトエリアに向かう。アメリカ国境から数えて、数百キロ南に下りて、右折して海岸に向かう。幹線道路を離れてから、地道をひた走るが、左右に山もない広大な大地の中をC・マフィア号は砂煙を上げて走る。そのうち、地平線が見えてメキシコにもこんなフラットな大地が広がっていることに、典型的な日本人の我々は驚愕させられる。大地には見慣れない植物、大空は一面のブルースカイ、アメリカは飛行機が大空のあちこちで見受けられるが、メキシコでは殆ど見ない。

 メキシコでUFOの目撃例が多く信憑性が高いのは、目撃者が飛行機と間違うことが少ないからだそうだ。幹線道路を離れて30〜40分、遠くに海が見え、小さな牧場が2〜3確認できる。途中、馬に跨ったメキシカンに出会う。遠目には少し危険を感じる。他には人も人家もない。車のスピードを落として、そのメキシカンと対峙する。緊張する我々に反して、奴は突然「アミ〜ゴ!」と言ってくれた。出会ったメキシカンはアメリカンに比べて、圧倒的にフレンドリーで人間味を感じる。

 午後3時半、やっと目的地のバハのフライトポイントに到着する。海沿いのエリアで、遠浅の海岸に沿って30キロのリッジが続く。海岸を見下ろすと、数人の地元民が貝取をしていた。我々はフライトの準備にかかり、歩いて海岸から30メートル程の断崖に向かう。風が弱めでリッジ・ソワリングは難しそう。切り込み隊長のアナグマが勢い良く飛び出すが、一回のターンでランディングとなる。二番手は怪鳥、気持ち良く飛び出すが、10秒でキャンプ地の近くにランディングとなってしまい、これを見たタイガーとミーはテイクオフを取りやめる。

 キャンプ地に戻ると、C・マフィアがテントを張り、火が焚かれ、トマトベースの鶏肉料理「ペチョカ」が出来上がっている。誰もいないバハの海岸で、怪しい日本人5人が火を囲みながら、先ほど入手したコロナビールを煽る。うっまい!ぷっはぁ〜!生きてて良かった!

 海に目をやると、昨日の空の様に一点の雲のない青空に、赤い太陽が真っ青な海に飲み込まれていく・・・日本ではこんな風景を見るチャンスがない。何かに追われてバタバタしていた自分が馬鹿のように感じられ、心身ともにリラックスする自分が感じられる。

 日もとっぷりと暮れ、空は満天の星空、ミルキーウエイが走り、北斗七星が輝き、じっと目を凝らすと流れ星が、更には人工衛星が通過するのが見える。祝宴は午後6時から11時前まで続いたが、明日からのフライトに備えてテントに潜り込む。テントの中では酔って思考力を失った自分に、襲いかかるような轟音が聞える。外に出て確認したいが、寒い、酔った体が動かない。一晩中その轟音は聞えつづけた。

 3日目の朝を迎える。今日もいい天気、一つの雲も見当たらない。西海岸は乾季と雨期に分かれている。今は雨期、しかし雨期といっても通年雨は降らないそうだ。"雨期ってなんなん?"兎に角、パラフライアーにとって、こんな好都合なことはない。

 早朝からオフショアの風が止まない。日が高くなるに連れて、段々風の方向がオンショアに変わってきた。5人全員がフライトの準備をして車でTOポイントに向かう。牧場の柵を開けて移動すると、馬に跨ったメキシカンの青年に出会う。ここでも、"アミ〜ゴ"で敵対関係がないことが確認できる。その青年に、C・マフィアがキャンプで使用する薪が手に入らないかを交渉する。英語とスペイン語のヘンな会話が続く。

 メキシカンが我々の要求を理解したのか、オレについて来いと丘の頂上の家に案内されるが、電気も水道もガスもない生活・・・後で知ったが、奥さんと子供は学校の関係で街中で生活しているようだ。やっとの事でTOに立ったのは午後1時前、しかし風は左クロスの南西風。メキシコでも岩屋でも南西風は歓迎できないんやね〜見かねたC・マフィアがダミーの準備を始めるが、 テイクオフポイントは断崖絶壁になっており、失敗すれば、良くて重傷、普通に考えて死亡、TOの失敗はあり得ない。

 C・マフィアはTOの手前10メートルで機体を立ち上げ、機体を安定させて目も眩む断崖絶壁からテイクオフ!"ひゃ〜・こえ〜・よ〜やる!"命のやり取りセクション!"かんべんして〜な〜も〜"こんな経験をしたことのない我々は、口には出しませんが、ビビリまくりの世界!強い左クロスの風でTOしたC・マフィアは、期待に反して沈んで行く。ターンして風に背を向けたとたん、すごいスピードで海岸のランディングに一直線、ハードランディングをするが、砂浜のため大事には至らず!

 後ろを見るとアナグマがTOの準備、"オイオイ大丈夫かいなモ〜"しかしここは男アナグマ、果敢に挑戦する。"ちゃんとテイクオフしてな〜飛び降り自殺しても、日本まで遺体を持って帰られへんで〜""エエとこ海岸で「荼毘」に付す程度やケド"
 "後で家族が現地を訪問しようとトライしても、あまりにも辺鄙な所で来られへんで〜"と考えている内に、バタバタしながら飛び降り自殺をしてしまいました。

 懲りずに怪鳥も続いて飛び降り、"あいつらおかしいんちゃう?"と思いながら、しゃ〜ないからワテもテイクオフの準備をせざるを得ません!
 おっとりと機体を立ち上げて、くるりと振り向いて、"機体さん、機体さん、絶対傾いたり、折れたりせんとってね〜"と言いながら断崖絶壁に向かって、強い風と戦いながらヨタヨタと出ていきました。

 飛んでしまえばこっちのもの、あなぐま、怪鳥とミ〜の3人が断崖に沿っていったり来たり。アナグマは少し南の吹き抜け帯をパスして、漁村が見える狭いエリアで楽しんでいる。怪鳥もそこに突入する。メキシコはスペインに征服された関係で、村の家々の雰囲気がスペインの田舎に見える。何回かリッジを往復していると、断崖の隅で不審な人物を発見!挙動がおかしい!"あ〜ズボンを脱いだ!""あ〜ヤバイかも""あ〜パンツも脱いだ!"
何でも確認せんと納得しないワテは、また空を引き返してみると、その行動がただの「野グソ」だと確認するのに、多くの時間は必要ではありませんでした・・・ぽてちん!
本人の名誉のために名前は伏せさせていただきます・・・・酔ったら喋るカモ!

 中々タイガーが出てこない。準備はしているが飛んでこない。"なに、しとんかな〜"と見ていると、そのうち空の人となって参加してきましたが、飛び出して彼がリッジを一往復した時、ワテはタイガーの後ろに付けてしまいました。タイガーのスピードは遅く、"はよ〜どくか、ターンして〜な〜"と考えていると、いきなり陸地側に急旋回を強行・・・ハードランディングをしてしまいました。近くにいたC・マフィアが、墜落地に走っているのが見える。"あ〜あかん、ケガしとるハズや!トップランしなければ"と思っていると、本人は以外にもむっくり立ち上がって、無傷と分かり安心しました。

 こんなことがあった間に、アナグマはランディング、怪鳥はトップラン、車の回収も心配いらんし〜、ワテはそのままふらふらとリッジソワリングを楽しむことができました・・パチパチパチと終わりたい所なんやケド、ここで素直に終わらないのがタスマニア!あとで、あっと驚くことがその夜のキャンプ2日目の宴会で露呈しました。その話は・あ・と・で〜 とりあえず、ワテがランディングあと、もう一本と再びTOへ移動しましたが、2本目は皆素直にTO・・・しかし、殆どぶっ飛び!

 日暮れまでに時間があるので、遠浅の海岸に出て「貝取り」をすることになりました。海岸は砂鉄でギッシリ!車で浜に入っても全然埋もれない!波が打ち寄せる砂浜を素足でグリグリ、中々貝が発見できない。諦めずに、ぐりぐりほじくる!その内、なんか足に当たる。"あった!"手のひら大の貝をゲット!やっと一個!周りを見ると他の連中は諦めて引き上げムード、"あのね〜一個じゃ〜今晩のBBQにたれへんやんか!""ここ掘れワンワンしなさ〜い!"

 その雰囲気を感じて、再度皆で砂浜をグリグリ・・・最終的に大きい貝を5個とあさり貝を6〜7個ゲット!これで貝取りは終了!焚き火を囲んで、宴会の始まり〜、はじまり〜さっき収穫した貝を焼く、口を開いた所で醤油をポトポト、ひぃ〜ふぅ、はぁ〜ふぅ言いながら食べる。うまい!おいしい!

 ワイワイ言いながら宴会は進む、じぃ〜と目を凝らして見ると、薄闇の向こうから怪しい人影が近づいて、"アミ〜ゴ"と声をかけてきた。よく見ると昼に出会ったメキシカンが肩に薪を抱えて持ってきてくれた。ついでに宴会に参加させて、C・マフィアが料理酒として持参した「日本酒」をプレゼントする。今晩のメインディッシュ「カレーライス」もおいしそうに食べている。ビールを勧めるとうまそうに飲む。

 "あんた名前はなんなん?""サミュエルって言いまんねん!""あっそ〜エエ名前やんか"てな訳で満天の星空の下で宴会は延々と続いていきます。何をやってもうまそうに食べたり、飲んだりする。"ところで、こんな闇夜に家まで帰れるん?""真っ暗やで〜"と聞くと大丈夫だそうで、現地人はタフやな〜も〜

 翌朝、キャンプにボロの車が近づいてくる。中からサミュエルが友達らしき男二人を連れて出てくる。運転席に座っていた若もんが、足元から「ドンゴロス」を出してくる。中では何かが動いているが、何か分からない。

 "なに入ってんねん?"と聞くと、ドンゴロスに手を突っ込んで、ヒヨドリみたいな、可愛い冠のある鳥を引き出してくる。"なんやねんそれ!""あ〜買ってくれゆ〜こと?"5人で相談した結果、日本とメキシコの友好関係を維持するため、ドンゴロスの17羽全部を引き取ることにしました。メンバーの一人、アナグマは猟師なんで、"料理は任せるわ"と言うと、アナグマも困って、"どないすんねん?"と困っていると、運転席の若もんが、一羽を捕まえて、バキバキ、ボキボキ、指で皮をアッと言う間に剥いて、内臓も取り除いて出来上がり!

 それを見ていたワテは、こう見えても小心者でフェミニスト・・・とってもやないけど、近くで見ることはできません。車の中から、遠巻きに殺鳥が行われているのを見るしかありませんでした。メキシカンが帰ったあと、怪しい中国系人物3〜4人が、可愛いい小鳥を袋から出しては、首を手でねじ切り、皮を剥いて、内臓を取り出しています。

 こんなおぞましいチュエーションの中で、ちょ〜勇敢な一羽が、C・マフィアが握るドンゴロスの僅かな隙間を駆け上がり、力ずくで空中へ脱出しました。"あ〜逃げられた!"と言ったとたんに、次の一羽も強引に脱出!お見事!パチパチパチ!怪しい中国系は、じぃ〜とこちらを見るので、その怖さに目をそらしてしまいました。結局、自力脱出二羽、遺体十羽、残りの五羽は自然保護の観点から放鳥することにしましたが、遺体の五羽は焼き鳥になってしまいました。

 第4日目、翌朝早く目が覚めて海を眺めていると、昨夜の殺人鬼の一人、アナグマが起き出して来ました。寝癖がついた頭を、ふっと見ると、頭頂部の毛が逆立って、昨日の小鳥の冠にそっくりでした。ミ〜の指摘に、慌てて髪を押さえましたが、再び、ピョコンと立ち上がりました。毎日天気は良いものの、風の向きがベターではありません。午前11時頃になると、普段は慎重な怪鳥が、パラザックを担いで丘を上がろうとするので、後をついて行きました。

 心の優しいワテは、小鳥の怨念で友人が事故ったらアカンので、サポートに行くことにしました。
"あのね〜風がクロスで入っているんで、浮かんと思うで〜"と言うのに、アドバイスを無視して強引に出ていきました。

 昼食の後、みんなで絶壁にたち、アナグマ、ワテ、タイガー、怪鳥の順にテイクオフ。アナグマがトップランを練習している。トップぎりぎりで飛ぶワテはトップランできず、30分後にランディングしてしまいました。みんなを待っている間、遠くの海を眺めているとイルカの群れが海を楽しそうに横切って行きました。そ〜いえば、バハに来た初日は鯨が姿を現し、期せずして「ホエール・ウオチング」を経験することができました。

 午後3時、テントを片付けてエンセナダに移動することとしました。移動の途中、街道沿いの露店で、"タマレス"というメキシコの代表料理の一つを食べました。内容は、コーンの粉末をコーンの葉で包んで、肉やその他食材を包んで蒸し焼きにしたものでした。お味は?・・・"ま〜ま〜かな!"兎に角、めずらしい味でした!

 エンセナダに向かう途中、メキシコ軍の車両検問に出会いました。C・マフィアがスペイン語でご機嫌を伺いながら通り抜けようとしましたが、ア〜ミ〜は許しません、全員車から降ろされてしまいました。
 "かなわんな〜も〜"とぶつぶつ言っていると、軍人が車の床を叩いたり、パラザックの中を気にしたりしかけました。一人の軍人が、ワテのパラザックに手を突っ込んで、ごそごそ・・・"な〜んも出てきませんよ〜に!"しかし、その軍人は何故かワテの「無線機」を鷲づかみしていました。チラッと他の軍人に目をやりましたが、"こいつら、スペイン語分からへんで〜と目で合図"・・・暫らくの沈黙のあと、開放されました。

 夕方、エンサナダの「デイズイン」に宿を取り、夕食を兼ねて町をブラブラ、少し買い物をしたあと、町の食堂へ入って行きました。メキシコ料理の残りのタスクをゲットするため、「ブリトー」「エンチラダ」を食します。基本的にメキシコ料理はコーンがベース、人気ビールの一つ、「ドスX」とともに、エンセナダの夜を楽しむことができました。

 メキシコに入って5日目、C・マフィアの案内で街の中を散策し、魚市場でお昼ご飯の食材を探す。うまそうな、「カキ」「赤貝」「あわび」を大量にゲットしたあと、およそ観光客が来ない食堂へ足を運び、フイッシュタコと魚介類が豊富に入ったスープを楽しむ。

 お土産を買ったあと、ラサニラのフライトポイントに車で上がることにするが、幹線道路が工事中で地道を走り、迷いながらも午後1時にTOに立つことができました。テイクオフに立つと、正面から順風が入っている。願ってもないチャンス到来!基本的に海に近いリッジエリアで、岩屋で慣れている我々には強すぎる風まづ、一年のブランクがあるタイガーを飛ばすことにする。やはり、立ち上げがうまくいかない。サポートしながら、何回かのチャレンジのあとテイクオフ!

 飛び出せば、快調にフライトしている。順じ、残りの3人も飛び出す。雄大な岸壁に沿ってどんどん北に向かって進む。高度を落としかけても、我慢して切り立った岸壁に近づくと一気に高度が稼げる。見晴らしのよい頂上に、白い木製の十字架が、何かの文字と共に立っている。"お〜やっぱ、ここは日本じゃないんや〜"目を凝らせば岩肌に白い龍舌蘭がびっしり生えている。北の端から、南の端まで4人ともフライトを楽しんでいる。

 気が付けば、4機しかいない空中に6機がフライトしている。"なんじゃ〜コラ!"あわてて、見慣れない機体に向かって、突っ込んでいく。すれ違いざまに見れば、西欧人がモーターパラでフライトしている。どうも海岸で立ち上げてこっちまで飛んで来たようだ。延々と続く岸壁を走っている内に、北の尾根先で高度を落として、とってもランディングまでは届かない状況になる。近くを飛んでいたモーターパラはいきなりエンジンをかけて、高度を稼いで帰っていく."あのね〜、きたないで〜、あんたら〜"ワテはと言うと、岸壁にギリギリ近づいて、風の吹き上げと探し回る。ここでも、日頃の精進の良いワテは高度をゲット、TO上空に帰ってきて、あたりを見回せば空中には何故か2機しか飛んでいない。

 アナグマが無線で、"休憩しない?"と問い掛けてくる。"ラジャ!"テイクオフ近くにランディングする。怪鳥も続く。一息入れていると、山道を上がってくる三人連れを確認する。明らかにパラザックを背負っている。"お〜お〜日本人カモ!"2〜30分後、息を切らして上がって来たのは、アメリカ人親子"どっからきたん?""カルフォルニア""ここから、近いやん""そ〜やねん""あんた名前はど〜ゆ〜の""ミーはヒッピーでスカイって言いまんねん"

"あ〜そぉ、スカイってホンマの名前""そ〜やで""ワテは日本人のヒッピーでマストンって言いまんねん。よろしく!"
 挨拶も済んで、休憩も十分したころ、再フライトをすることに・・・しかし問題が・・・あんだけ苦労してテイクオフしたのに、気が付けばタイガーがおる!がっびぃ〜ん!

 風は相変わらず強め、タイガーのハーネスを掴んで機体を上げる。風に煽られて、機体が地面に叩きつけられる。何回かのチャレンジのあと、体が持ち上げられる!あっという間に、風に飛ばされ、近くの岩に激突する。"エ、エライことになった。"アメリカ人親子も駆けつけて、タイガーに近づく。本人はむっくり起き上がって。"だいじょうV!""あのね〜"
"あ〜、びっくりしたな〜も〜、万一事故でも起こしたら、残留組に何言われるか分からんで〜、も〜"今回のツアーの絶対条件は、無事故であることなんやから!
 "監督もその辺は、マジで心配しとったやないの〜・・・ごっほん!"

 これを見たアメリカ人親子は、パラザックを抱えて、風が正対する別のTOポイントに移動していきました。やっとの思いで、タイガーがテイクオフしたあと、アナグマが挑戦!何回か失敗の後、またもや、強風に持ち上げられる。進行方向に背を向けたままTOしようとするが、体の回転が反対になっている。身の丈ほどの高さから、地面に叩きつけられる。"あっへ〜、だ、大丈夫?"本人は何事もなかったように立ち上がり、気を静めて再チャレンジ怪鳥も続く、忘れ物がないかキョロキョロしたあと、ワテも続く・・・さっきより若干コンディションは落ちているものの、相変わらず楽しいフライトができる。

 アメリカ人親子の上空を旋回するが、中々テイクオフしない。最初に、14歳の息子をテイクオフさせる積りのようだ。
 空中から、"スカイ!、エアーコンディションはエエでぇ〜、心配ないで〜"と言ってあげると、安心したように手を上げてTOの準備に入った。
 息子を無線操縦してランディングさせたあと、小さい娘とタンデムで飛び出す。"アメリカ人やの〜"ティ〜ンエ〜ジャの息子をシングルで飛ばして、小学生の娘をタンデムフライトするとは・・・・妙に感心する。
 タンデムフライトを10〜20分すると、ランディングに向かった。他のメンバーも既にランディングしており、おそい昼飯の準備をしているみたい。

 ワテを無視して、貝焼いて、ビール飲んどるんにちがいないわ!と思いつつ、余りにも綺麗な景色を見ながら、尾根先でセンターリング。
 強い風に乗って、風下に回った時急激に落とした高度は、あっと言う間に上空へ・・・リッジの端から端まで移動しながら、高度を落としてはポイントで浮き上がる。
"さ・い・こ〜やね〜、海はきれいやし、フライトは楽しいし〜"ステイできなくなるまで飛ぶことも考えたが、今日は移動日、下界のビールも気になるし、"ま〜今日はこれくらいにしとったろ〜"とランディングに向かう。
 RDでは、やっぱり貝を焼いて、ビールをグイグイやっちょる。アメリカ人親子も、モーターパラの二人も近くで帰りの支度をしている。
 唐突ですが、モーターパラで飛んでいたアメリカ人の若もんは、ヨーロッパで行方知れずになったマリオンが、パラの先生だったそうです。

 彼曰く、"マリオンは宇宙人に連れて行かれちゃった!"だって。我々がうまそうな貝を焼いて食べているのが気に係るのか、近づいてきて日本語の唄を歌ってくれました。
 "むかし、日本人と文通しとったんやって!"唄の題名は聞いてないけど、♪甘いニンジン〜♪のフレーズだけは記憶に残っています。
 我々も、食事の後、北に移動して、楽しかったメキシコを後にすることとしました。

 快調に走るC・マフィア号は、途中、余分な時間が必要であることを省みず、我々のためにメキシコ3番目の都市、「ティアナ」のダウンタウンに入り込みました。車窓から眺める外界の雰囲気は、"ちょっと危ないカモ"、一人で夜の町は歩きたくない感じがしました。しかし、初めてメキシコを訪れた我々のために、C・マフィアはわざわざ雑踏の中に踏み込んでいただいた模様です。(ただ、単純に道を間違えたと言う意見もあります。)

 暫らくすると、アメリカの国境にたどり着きました。いつもより検問渋滞の列は短いようで安心しましたが、車の列に割り込むのに大変苦労しました。助手席に乗っていたワテは、日本のように手を上げて、"すまんの〜、入れてくれる?"と合図を送りますが、アメリカ人は目も合わさず、無視して車を進めます。
 "あの野郎〜了見のの狭いやっちゃ・・だからアメリカはスカンのや"、何台かの車に断られ、中の一台のヤンキーはわざわざポケットから「札」を取り出して、金を出したら入れてやると、ジョーク半分でアピールします。
 太っちょの白人女性は、ワテが窓から身を乗り出して、相手のウィンドウ越しに50センチまで顔を近づけて、"ね〜ちゃん入れてね?"お頼みいたしまたが、無視されました。個人的な意見ですが、アメリカの将来は暗い、繁栄しない、堕落している、人間味がない、おもろ〜ない、ジョークを理解せんかい!ばかも〜ん!(これくらいにしとったる!)

 やっとの思いで国境をパスし、一路北へ、北へ・・♪名もない港に〜桃の花は・・・♪余り関係ありませんが、これは、小林旭の「北へ」と云う唄です。LAには午後10時頃到着、C・マフィアの案内でホテルを4〜5軒回るものの、各ホテルの駐車場に車は多く止まっていないのに、部屋がないの連続! ???????
  2〜3軒目でやっと気が付きました、訪れたホテルはみんな「連れ込み」だったんですわ!"あっほんだら〜さかさクラゲのネオンぐらい付けとかんか〜"・・・

 最終的に、我々紳士軍団チームタスマニア、まじめ奉公人グループチームAはまともな、ホテル「ベストウエスタン・グラナダプラザホテル」に入ることができました。自宅に近いC・マフィアは、ひさびさに自宅に帰ってシャワーを浴びて、子供の顔を見たいハズなのに、ワテらのために奔走してくらハイまして、感謝しております。

 チームタスマニアの入会資格は3つ、その1、酒が飲めること。その2、タバコを吸わないこと。その3、家庭から見放されていること。上記のことを、C・マフィアに当てはめますと、タバコ以外は基準を満たしておりますんで、「アメリカ支部長」に任命いたします。ただし、一年間は、その能力判定の必要から、「準構成員」といたします。

 翌朝、第6日目、今日もエエ天気・・・最高!ホテルのロビーでC・マフィアを待っていると、初老の日系人から声を掛けられました。
 "日本人ですか?""へ〜そ〜でんねん"、その方は、LA近郊の街でワイン農家を経営されているようで、LAにはビジネスで来れれているようでした。なんせ、18歳からこちらに来られているようで、アメリカ生活50年以上、第二次世界大戦を経由して、"色々あったんやろ〜な〜"

 予測どおり、遅刻されましたC・マフィアはホテルを出発後、順調に北に向かって走るが、途中から、通勤時間帯にぶつかって、5〜6車線ある道路が一部渋滞しちょります。色々な車をウオッチングしながら、ワイワイ、がやがや・・・途中で気が付きましたが、かっこええスポーツカーに乗っているのは、グラサンが良くお似合いの、わけ〜別嬪のオネ〜ちゃんばっか!聞く所によると、UCLAやどっかの経歴詐称で話題になった、ペパーダインの大学に通学途中のようでございます。
 "あのね〜いつまでも親のスネかじるな!"・・・"痛いやんか!"、事実、若い女性を抱えるアメリカの家庭は、お金がたんまりいるそ〜です。

 そ〜こ〜(走行)している内に、フリーウエーを下りて広大な大地をひた走ります。荒涼とした大地には、「ラビット・ブッシュ」と呼ばれる草が生え(西部劇で、風に吹かれてゴロンゴロン回ってくる、あの草ですわ!)、その中には、「ジョシュア・ツリー」と呼ばれる、高さ2メートルまでの、サボテンみたいなものが出没します。高さ1メートルになるまでに、何百年の年月が必要なんやって!お〜びっくり!ついに、オーエンズの谷に入ってきました。左にはシェラネバダ山脈が延々と続き、右側には同じように山脈が続きます。なんせ、神戸から名古屋ぐらいまでの距離だそうで、一口にオーエンズといっても広すぎて、いつまで走ってもオーエンズでした。

 オーエンズに入って、暫らくすると、第二次世界大戦で、私財を強制的に没収された日系人が、一万人以上収容されていた、「MANZANAR」に着きました。特に記念館もなく、木製の看板が案内しているだけで、「慰霊塔」にお参りして、ココを後にすることにしました。全米で10箇所の収容所があったそうです。目的地のビショップに着くまでに、街道沿いの小さな田舎町、ローンパイン、インデペンデント、ビッグツリーと経由して、目的地に着いたのは午後3時過ぎ、目の前にはシェラネバダ山脈で一番高い山、「Mt.ホイットニー」が燦然と夕日に輝いて、とても綺麗でございます。

 Mt.ホイットニーはビショップの街から日帰りで行けそうな、そう高くないピークに見えますが、標高は4,300メートルもあるそうです。いよいよビショップのダウンタウンに到着。スーパーで買い物を済ませ、宿泊予定地のベントン温泉に移動します。さすがに、メキシコからほぼ一日かけて北上しただけあって、平地や道路には雪はないものの、山々の頂きは雪を被っています。

 ビショップから40分、ベントン温泉に到着。日陰にはうっすらと雪のあるところもありますが、外に出ても寒さは感じられませんが、日が陰って来ると急激に気温が下がると思われます。この寒暖の温度差が、強烈なサーマルを生み出すと予想され、真夏では20m/Sのサーマルもあるようで、高度5,000メートルまで舞い上がることがあるため、酸素ボンベを携行して飛ぶようです。

 ベントン温泉の宿は、「イン・アット・ベントン」、別嬪の奥さんがご主人と二人で宿を経営されています。当日は我々の他には、アメリカ人のおばちゃんグループ3人組で、たぶんやかましいので、できるだけこちらからは、近づかないこととしました。

 夜、屋外でBBQが中国人シェフ、C・マフィアによって執り行われ、我々は露天風呂に浸りながら、「シェラネバダ」と云うアメリカのビールを楽しみました。前言を撤回しますが、このアメリカンビールは大変グッドでございます。夜が更けるにつれて、外気音がさがり、こぼしたビールが凍るほど!寒気を感じたワテは、"こんな連中には付き合っておれん"と宿に引き上げましたが、その宴会は、深夜12時近くまで続いたそ〜でございます。驚くことに、この宿、イン・アット・ベントンの水洗トイレを使用してびっくり!水を流すと、それはまぁ〜「温泉」が流れますぅ〜。

 いよいよ最終日、楽しかった今回のツアーの終焉が近づいてきました。早朝からみんなで起きだして、近くにあるベントン温泉の源泉を見学に行きました。朝は予想通り冷え込んで、昨晩の宴の後のビールも完璧に凍りついているが、朝日と共に段々と気温が上昇してきました。宿で奥さんの朝食を食べた後、嫌がる一匹の意見を無視して、最終日にオーエンズバレーをフライトすることにしました。今回、メキシコとオーエンズバレーの滞在中に、エンセナダのアメリカ人フライヤーに会っただけで、フライトエリアは、何処に行っても我々のグループだけでした。

 こちらに来る前に、ハングの女子世界チャンプで、パラのアメリカチャンプのカーリー・キャッスルさんにメールを入れたが、あいにく、この期間は不在であるとの返事でした。確認のため、C・マフィアから再度彼女の携帯電話にアクセスするものの返答がなく、残念ながら我々だけで山頂に向かうことになりました。

 幹線道路をテイクオフポイントに向かって東進する。高度はどんどん上がって行く、因みに、幹線道路の海抜は約3,300フィート、ワインディングロードを上り詰めて、山中に入って行く。目の前を何か動物が横切る。"え〜きつねorたぬき?"ブッシュに入ったその動物は、コヨーテであることが分かりました。コヨーテは知らない人のためにご案内すると・・・イヌ科の哺乳類、頭胴長1メートル、尾長35センチメートルで北米から中南米に分布しています。

 この辺は海抜7,000フィート(2,100メート)・・・道路の上に凍った雪が被さり、行く手をさえぎられ、ノーマルタイヤのC・マフィア号は、遭えなく退散という憂き目に遭いました。車外に出てみると、外気温は結構高く、少なくとも「岩屋」の冬よりはず〜とましで、次回には是非挑戦したいものです。無理してテイクオフに行けない事もないカモしれないが、熟練者のC・マフィアが同行していても、絶対はないので・・・賢い我々は全ての予定を終了することにいたしました。
"パチパチパチ"・・・踵を返して、一路LAに向けて、延々と続く一直線の道をどんどん南下していきます。

 LAには午後4時頃到着し、今流行りの郊外のショッピングセンター(モール)、UCLAの町並み、サンタモニカなどを見学し、午前0時10分、機中の人となりました。

 最後に言い残していることがあります・・・お忘れでしょうかねぇ〜?バハの断崖絶壁からフライトしたとき、約1名がテイクオフに失敗したそうです。他の三人は既に飛んでいたので知る由もございませんが、機体を立ち上げてテイクオフする瞬間、下を見るとよい結果はありません。若干の躊躇が、機体に伝わってフロントコラップスを起こし、真逆さまに落ちる直前、岩の切れ目にすっぽりとはまり、墜落を逃れたそうです。

 これが、バハでのフライトを中断した理由ですが、結果的にエンセナダで全員、良い飛びができたので、満足、満足!そ〜ゆ〜ことで、今回のツアーをぜ〜んぶ、正直にご報告させていただきました。

 最後に、今回のツアーに応援いただきました皆様有難うございます。忘れられぬ多くのの経験をすることができました。特に、西山さんには、空港での予約、交渉、ツアー期間中の適切なアドバイス、キャンプの設営、料理の担当、運転、観光案内、通訳、etc 我々は全てを西山さんに"おんぶに抱っこ"、やったことといえば、唯一「酒の飲み方」をお教えしただけカモ! 有難うございました。

Reported by Muston


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