「ビジターデビュー?は夢へのTAKE OFF!」
   〜でも、現実は修行の始まり!〜 BY 竹森 玲花
 (00/01/22)


【自己紹介】

 1974年生まれ。東京都在住。みんなからは、レイカ(ちゃん)と呼ばれています。昨年の10月までグランボレ(群馬県)で飛び、やけくそのP証取得後、スカイパーク宇都宮(栃木県)にホームエリアを移したひよっ子パイロットです。XC証目指してがんばりまーす!!!

 特技は、老人のおむつ交換です。夢は、いろんな空と仲間に出会い、自分に新しい風を入れること。大きな夢は、スカイスポーツのバリアフリー。ハンディキャップのある人にも少しでも、雲や風や飛ぶことを身近に感じられるような世界づくりです。

 現在は、精神障害者(精神分裂病患者)分野の仕事をしながら、週末はどこかのパラ王国で過ごします。

【はじめに】

 私がパイロットになってビジターとして飛ぶのは、岩屋が初めてでした。また、関西ということもあってか、初めてづくしの旅となりました。このレポートを書くにあたって、何を書こうか悩んだあげく、とにかく自分の感じたことを思うままに書きました。そのため、容赦ない大変な分量となってしまいましたことをお詫びいたします。時間の無い方は【おわりに】だけでも読んで下さり、また、講習生のみなさんがパイロットとなり、ビジターデビューの時の参考に少しでもなれたらうれしいです。

【ゆっぺさんと出会ってTAKに来れました】

 昨年の6月、私は、初級機から某社のDHV1−2の機体に買い変えました。ところが、あまりの恐怖で吐き気はするは、お腹はピーゴロになるは、涙が出るはで大変な時期がありました。

 それで、クラブ(グランボレ)のホームページの掲示板に悩みを書きました。その時、クラブの人以外で励ましてくれたのが、ゆっぺさんでした。そして、メル友になっていただけました。

 私のどんな質問にも、ゆっぺさんのお返事は、めっちゃ親切で感動しました。ゆっぺさんがシエラに乗り始めた時に苦労したことや克服方法を教えて下さいました。また、スクールで思うようにグラハン練習ができないし、練習方法に疑問を感じていたので、ゆっぺさんに相談したこともありました。グラハンの練習方法を頭上までまっすぐあげる練習から始まって段階をおって、課題を教えて頂き、また、ゆっぺさん自身の課題も教えて下さいました。おかげ様で、私のやる気も沸いて、目標を持ったグラハンになったのですが、何しろ幅25メートルの狭いLD場(グランボレ)の中で機体が降りてくる中、また、他の機体がグラハン練習する中でへたっぴな私が練習するにはあまりにも大変でした。スカイパーク転校後、講習バーンを利用したLD場となり、今度は斜面があるのでもっと良い練習ができると思いましたが、LD場の回りはすべて森林なので、良い風が入らず練習のチャンスさえも減ってしまいました。

 新しい機体と仲良くなるために、また、クロスは、ダブルハンドでしか立ち上げることができなかったので、ワンハンドでできるようにグラハンしたいと願っていた私としては、このまま終わっちゃうのかなとちょっと寂しく思ったりもしました。それでも、なんとかしたい、上手くなりたいという思いは泉のように湧き出て、どうしようかと考え続けていました。

 ある日、ゆっぺさんのホームページで公開しているフライトログを読むと、頻繁にグラハン練習ができるようだし、岩屋(TAK)でのフライトがとても楽しそうに思えました。(※スカイパークも楽しいですよ。)ログでの飛行ルートを読むと、私が飛んだことのあるエリアとは全然違うことが想像できました。そして、TAKのホームページを見るようになりました。校長のエッセイや基礎講座などを大変興味深く読ませていただきました。パラグライダーや気象の本をいくつか読んだことがありましたが、校長の説明が一番わかりやすく、楽しかったので、しかも詩的な文章表現にとても惹かれました。詩的な飛びをする校長とさらに、正一郎さんがいるところと思うと日毎に岩屋(TAK)で飛びたい、会いたい、グラハンしたいと頭がいっぱいで夜も眠れない片思いの苦しみのような気持ちになってしまいました。

 そして、ついにがまんできなくなり、ゆっぺさんに気持ちを打ち明けTAKに行くことができるようになりました。

【恋が実って〜パラカイトからフライトまで〜】

『初日の思い出』

 初めてTAKに訪れた時は、12月18・19日でした。この日は飛べませんでしたが、TOを見に行きました。西TOは、宇都宮にそっくりで、南TOはグランボレに似てたので、少し安心。強風の中、みんなで記念写真を撮りました。

 飛べないので、LDでパラカイトをして遊びました。できるかどうか不安でしたが正一郎さんがやり方を教えてくれて大丈夫でした。2年前かな?グランボレで初挑戦のときは全然できませんでしたが、いつのまにかできるようになってたんだと思うとうれしいです。ところが、風が強くて、本当に飛ばされそうになりました。一瞬、足が浮いてすごい怖かったです。「もう、本当に飛ばされる〜こわい〜。」を連発して、ようやく正一郎さんに変わってもらいました。右360度と左360度のターンをマスターしたかったけど練習できなかったので、次回がんばります。

 その後、お昼を食べに、TAK御用達のやぶそばに連れて行って頂ました。関西風は、生まれて初めて食べ、あまりのおいしさに感激。ここは、関西という実感がわいてきました。その後、TAKクリスマス会準備のためのお買い物ツアー。1日して青垣町の100円ショップは全て制覇。ほとんどの店を回った模様。これで、私も青垣町フリーク?中でも、おかしいのは、ファミリーランド(ゲートボール場)の入り口(通路になってる)にH本の自販機がずらり。ここの土地の倫理教育はどうなっているのか?「ちっともファミリーじゃないじゃないかー。」と感じましたが、まあ、よろしいやん。

『あこがれのグラハン』

 19日は、恋い焦がれていたグリーンパークでのグラハン。飛ぶわけでもないのにとても緊張している中、ワンハンドクロスを長野さんに教えて頂く。どうしてもキャノピーをまっすぐどころか頭上までも上げられない。そんな中、TAKの講習生は、みなさん上手で、特に佐藤兄弟の上手さと一生懸命さに驚きました。

 どうにもできない私を見て、長野さんは、優しさなのかあきらめなのか、「別に自分の得意な方法でやったらええ。どれも長所・短所があるでな。」とおっしゃられました。正一郎さんに「悔しいか?」と聞かれ、私は、パイロットなのにと思うと、情けないのと悔しさで混乱し涙がどんどん出てくる。校長が近づいて来て下さり、「落ち込んじゃだめだ。落ち込むことなんか全然ない。」とお声をかけて下さりました。しかし、涙は止まらない。正一郎さんが「あれが足りんのじゃ。よっしゃ、あれでいこう。」とおっしゃり、見ると、斜めに立ち上がってるし、振り返って、あまり綺麗とは言えませんが、強引にすごい走って立ち上げている人がいました。すばらしい気合いだと思いました。私は、ここであきらめたら、何のためにTAKに来たのか、また、講習生にできて、私にできないはずがないと思い直し、絶対にできるようになると決意を新たにしました。私の順番が来て、正一郎さんが綺麗にキャノピーを広げて下さり、「ファイヤー!!!」と大声をかけて下さいました。私がキャノピーを立ち上げる中、長野さんが見守って下さり、正一郎さんは、「ファイヤー!」を連発して下さり、下からも校長が「ファイヤー!!!」と気合いを入れて下さる中、私もがんばれました。キャノピーは、まっすぐ綺麗に立ち上がりました。もう、とってもとってもうれしかったです。振り返って、「キャノピーを見るんじゃない走れ。」と注意されるものの、斜面を走りきり、校長の基へたどり着いた時は、私にもできた!!!とじーんと胸が熱くなりました。久しぶりにとってもとっても青春しちゃいました。恥はかいてみるもんですね。恥の向こうに福来たる。

 実は、キャノピーを立ち上げた状態で走り続けるというのは、TO以外では初めての経験で、できるかどうか不安でした。一度成功してからは、順調でした。特に、斜面を走りながら、またクロスさせ、また振り返って走り、またクロス、振り返って走る繰り返し練習は、刺激的でとても面白かったです。この練習方法は上手くなるだろうなと思いました。こんなにグラハンが面白いと思ったのも初めてです。スカイパークでもこの練習ができる日があるかどうかわかりませんが、練習方法と感覚は覚えたので、チャンスがあれば絶対に楽しみたいです。

『初タンデム&初飛びin岩屋』

 12月29日、快晴。しかし、まだ私の機体が到着していなかったので、幸いにも、正一郎さんにタンデムフライトをして頂けました。一応、正一郎さんに合わせてターンの時に自分で体重移動をしていましたが足りないらしく、バシバシお尻をけられました。残念ながら弱いリフトのみでソアリングはできませんでしたが、私のリクエストでスパイラルをして下さいました。1年前に、スパイラルを自分でやったことはあるのですが、それっきりとなっていたので、練習したいと思いながらも、なんとなく怖くて練習のきかっけがつかめないでいました。心の準備ができる前に、スパイラルに入ってしまたので、最初怖くて目を閉じてしまいました。すぐに、もったいないと思って目を開けましたが、低い高度でのスパイラルだったのでいろいろ考える前に終わってしまいました。終わる時は、グライダーが前にピッチングを起こした時に止めるようにすることを教えて下さいました。今振り返ると、スパイラルに入れる時のことも聞いておけば良かったと思います。自分でスパイラルをした時は、完全に入るまで時間がかかりましたが、正一郎さんのはすぐに入ってしまったので驚きでした。スパイラルは、すぐに入るものと認識が変わりました。なんですぐにスパイラルに入るのかなと思いました。また、これを機会に近いうちにスパイラルの練習をしたいと思いました。

 最終アプローチに入る前に、ローリングもして下さいました。いろいろ考えるには、これもアッという間でしたので、もっとしてほしかったなと思いました。最後は、きっちりターゲットへランディング。さっすがーと感じました。しかし、岩屋の空を飛べましたが、ルートを覚えるのと正一郎さんの技を見ることに神経と脳味噌が足りないくらいで、景色を楽しんだり感動してる余裕がありませんでした。

 午後には、無事、私の機体も到着し、いよいよ自分の力で飛ぶ時が来ました。すごい緊張で胸がドキドキし、具合が悪くなりそうでした。TOは、スカイパークの傾斜に近いし、LDは、グランボレよりもっと広いので、大丈夫と思いながらも、足が震えてしまいました。だんだん緊張より飛びたい気持ちが勢力を増し、いざTO。いつも、緊張してる時は、「森のくまさん」を歌ったり、怖い時は、「風になりたい」を歌ったりしていますが、それも考えつかないくらい緊張していたようです。当然、景色を見てる余裕はありませんでしたが、尾根沿いの学校付近まで来て、校長から「ぐるっと回って見ましょう。好きなようにターンしていいよ。」と無線が入りました。まず、右360度、次に左360度ターンをしてやっと落ち着けました。景色も見ることができました。そして、LDアプローチに入る頃には、平常心になり、無事にLD。初飛びの時のようにもっと感動するかと思っていましたが、あまり記憶がなく感動よりも、無事に飛び終えたことが喜びでした。

『岩屋の空』

 その後、元旦を除くと2日まで毎日飛べました。残念ながらサーマルソアリングとまでは、いきませんでしたが、リッジのようなアーベントのような中、15分から20分程度のソアリングが数本できました。スカイパークは、山が横に続いていて、前後に山はないので、風向がわかりやすいことが多いのですが、岩屋は、山が密集しているためか、どちらから風が吹いているのかわかりませんでした。また、サーマルの形をイメージしようと思っても、さっぱりでした。グランボレからスカイパークに移った時は、ソアリングにそれほど大きな違いは感じられませんでしたが、何が違うのかまでわかりませんが、岩屋のサーマルは全く質が違うように感じられました。強いサーマルにあたらなかっただけなのかもしれませんが、リフトとサーマルがはっきりしないで混在し過ぎてるように思えました。(※間違っている表現でしたら、ごめんなさい。)ターンするにも、左右の決断が遅れがちでタイミングよくターンできませんでした。(別に岩屋でなくても、技術的にはまだまだですが…。)

 それから、山(尾根)がありすぎて少し怖かったです。岩屋での印象は、とにかく山々…、山ばっかり。いままで、大きな山は一つで、周りは平野で、遠くに連峰が見えるというのが普通だと思っていました。日本って広いんだなーと実感しました。こんなにたくさん山があったら確かに遠くまで飛んでいける可能性はあるだろうなと実感できました。私も、いつか遠くまで飛んで行きたいです。特に、TOより後ろの方向とLDを越えてどんどん飛んで行ったことがないので、いつか挑戦できたらと思いました。LD横の前山でソアリングというのも新鮮な光景でした。私も、前山で上げてTOまでのアウトアンドリターンを是非経験したいです。その前に、岩屋山でソアリングできるようにがんばらないといけませんが…。

 TOは、結局全てフロントで出ました。私でも、クロスで出られそうな風がありましたが、勇気が出せませんでした。まだ、練習不足で不安がありましたし、とてもスタチンしずらく感じてできませんでした。ホームエリアだってスタチンしやすい雰囲気な訳ではありませんが、ホームエリアと卒業したスクールはやっぱりお父さん、お母さんなんだなと有難味を感じました。(ちなみにお兄ちゃんは茨城県のCOO)岩屋(TAK)は初恋?恋人になるのかな?ふられないようにがんばりまーす!!!

  LDは、私が飛んだことのあるエリアの中では一番広いし、障害物も少なく、ターゲットをねらい易いLDだと思いました。もっと簡単にターゲットを踏めるかと思ったら、結局7本飛んだうちの2本しか踏めませんでした。かなり外したのも2本ありました。アプローチは、行動範囲がいつもより自由のためか、迷ってばかりでした。特に、セミファイナルやファイナルターンの位置の決定が遅くれがちになり、LDにとりあえず降りた、といった感じであまり納得のいくLDアプローチはできませんでした。それから、吹き流しにも少し惑わされました。私の場合、河原側にある3本を見ていることが多かったのですが、5本目を飛んだぐらいに、ゆっぺさんに「あの吹き流し(河原側の一番山と道に近い方)、もしかしてあてにならない?」と聞きました。すると、あっさり「そうだよ。川の影響受けるから。」と返事が返ってきました。そして、事務所の吹き流しが頼りになることを教えて下さいました。また、近くの煙も教えて下さいました。飛んでいたら気づきそうな場所に吹き流しも煙もあるのに、どうも、全然見えてなかったようでした。飛ぶ前に、迷った時の信頼性の高い吹き流しやヒントを聞くべきだったと思います。

 細かい反省を書いてると切りがないので、この辺で止めます。正一郎さんの飛びを見て思ったことですが、本当にすごいですね。移動してくのが早いし、1回1回の動きがきれいで驚きました。まさに、「飛んでる」って感じがしました。私のパラグライダーの飛び感が大きく変わりました。「パラグライダーってこんなにすごいのか」と、「こんなにきれいに飛べるんだ」と思いました。ますます、パラグライダーが好きになりました。すごい飛びを見られる岩屋で飛んでるフライヤーのみなさんがとてもうらやましい限りですが、いろいろな意味でのすごい飛びとすごい人(熊と素手で戦って勝った人・職業がお金持ちの人など)ならスカパークにも自慢したいフライヤーがたくさんいますので、いつか飛びに来て下さいね。

【おわりに】

正ちゃんと うさぎ

『飛びながら無線で楽しむ親子漫才・ダイオキシンの演奏・毎日の夕食のごちそう・小泉邸でのいたれりつくせり・かわいいジュジュ・生まれて初めてシリーズ(除夜の鐘をついたこと、スノボー、着ぐるみ事件など)・すばらしき?恐るべし?近寄っていいのかどうかよくわからなかったタスマニア軍団・あっという間になくなったけど、1人で5個も食べてしまってごめんなさいのおもちつきetc  数え上げたら切りがない思い出』

 など、書ききれないほどたくさんの宝物で心が広くなりました。あんまり、詳しく書いて、TAKにビジターが大勢来てしまったらどうしようと思っています。また、TAKに行ったきり、家庭に帰えれなくなるフライヤーが出てしまう恐れが多分にあるので、もうこれ以上、TAKの魅力を書くのは危険過ぎて、書けません。でも、全国のフライヤーのみなさんには、是非、是非、岩屋の大空を飛んで、TAK校長の暖かいいビームと寒いミサイルを受けて、TAKワールドのとりこになって頂きたいと思います。

 私にとって、TAKと愉快な仲間達との出会いは、最高のサーマルに出会えたような気持ちです。このまま、上昇気流に乗り、ソアリングしていけたらとっても幸せだなと思っています。

 最後になりましたが、TAK校長、長野さん、正一郎さん、ゆっぺさんをはじめ、TAK関係者のみなさまには大変お世話になりました。ありがとうございました。

 TAKで見つけたすてきな種を大切に育てて、また、その種を全国の仲間達のところへ風に乗せて届けられるフライヤーに成長していきたいです。ファイヤー!!!


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