「私の初飛び」 中浦誠子 (99/08/29)


 待ちに待った初飛びの日がやって来ました。7月6日に校長に「初飛び行くぞ」と言われてからなんと1ヵ月と9日。その間、何度も校長に「今日は行くぞ」と言われ何度も岩屋山に登るが目的を達せず、私の神経のみがあまりにドキドキにすり減りました。今回も、朝の9時位に校長の「初飛びだ」の一言があってからずっとドキドキ、しかし午前中は飛べる状態ではなかったので、神経のみが高ぶった状態でお昼を向かえました。あまりの緊張に何を食べたのだか。昼過ぎから風が落ち着きはじめ山に登るが、なぜか雨が、またもや初飛びは延期と思われましたが、何とか今回は目的を達しました。

 いよいよ飛ぶというときは、あまりにも長い緊張で胃は痛いし、極度の緊張で息の仕方も分からなくなりました。だけど、長野さんや本田さんが声をかけてくれたので落ち着きました。立ち上げて、飛び出たのですが、どうやって出たのか全く記憶にはなく出た瞬間「あっ浮いている、木のうえに」と思ってそのまま石化してしまいました。無線で長野さんが「誠ちゃん、右曲がって」と言ってくれたのですが、すぐに反応できず、動きだしてからもロボコップのようにカクカクとぎこちなく、自分の体であって自分であらず、という感じでした。しばらくすると、長野さんから校長に無線がかわり、「中浦さん、そのままランディングに真っすぐ向かって来て」と言われるが、私には一面たんぼにしか見えず心の中で(ランディングってどこ?そんなんないやん)と思いながら、(とりあえず、校長は真っすぐ来いと言ってるから、何もせんかったら真っすぐ行くかな)と判断して、固まっていました。

 それで、良かったようで、少したつと校長が「右180度曲がって」とランディングアプローチに入ったのでほっとしました。しばらく、何度か、旋回をすると、ああ、体重移動ってこういうことだったんだと、初めて分かりました。すごく気持ち良く、旋回をうっとりしながら行なっていると、又校長が「中浦さんランディングはそのまま真っすぐだから」と言われ、旋回に夢中になり、ランディングがわからず、(又、ランディングわからんようになってしもた、あかん、だけどさっき真っすぐ言ってたからきっとそれでうまく行くかな)と思いそのまま再び固まってました。すると、他の人達のキャノピーがランディングに広がっているのが見え、ようやくランディングが分かりました。だけど、どんどん田圃を通り過ぎ気づくと農道の上に来ており、その場所で「そこで足を延ばして、ブレークを引けー」と言われ、(げっ、マジ、ここ農道やで、本気?)と心の中で叫びました。するとそれが校長に伝わったのか、「いいから、そこでブレーク引いて」と言われ、ようやく農道に着地しました。農道はまるで飛行場の滑走路の様で、「ウーン私は飛行機の様に着陸できたんだ」と一人で悦に入ってました。

 今まで長い間飛べなかった分だけすごくうれしくて、この感じを一度味わってしまうともう、パラからは、離れられないなと感じました。初飛びまで、何度も熱射病でダウンして、多くの人に御迷惑をおかけしましたが、無事初飛びを終えることができました。本当に色々ありがとうございました。ようやく、山飛びの仲間入りができました。


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